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何気なく思うことを綴るぐだぐだブログ。
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プロフィール
HN:
ぱくどら
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1986/12/11
趣味:
野球観戦
自己紹介:
小説家になろうで作者登録しています。
作品一覧
文章構成も文章表現も下手だと思います。。なんとか皆様の心に残るような作品を書くことを目標に頑張っています。
隠れ家のpassは syousetukaninarou
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はじめに

この作品は、小説家になろうで連載中の『サモチェリ』の番外編です。
読まれたことのない方にはお楽しみいただけないかもしれませんが、ご了承ください。

読んでくださっている読者の皆様へ。
ど素人の私の作品を読んでくださっていること、心より御礼申し上げます。
今、世間はクリスマスです。
何か差し上げることができれば良いのですが、残念ながらそれはできません。
その代わりにサモチェリの短編をご用意いたしました。お楽しみいただければ幸いです。
なお、本編には一切関係ありません。


【タイトル】プレゼント

【あらすじ】ライトは喚ばれることを待っていた。そんなある日の夜。思いもよらぬ客人がやって来る。

では続きからどうぞ。

【真一のある日の昼下がり】

 温かいフェル草を掌に乗せ、イメージを膨らます。
 甘くて、白くて、三角錐で……とにかくおいしい。
 出ろ、出ろ、出ろ……。
「インディションサモン!」
 掌がカッと光って出てきたのは、イチゴのショートケーキだった。
 よし、イメージ通り。白い生クリームに赤いイチゴが映えて、見るだけで唾が出てくる。
 見た目は合格……問題は味だ――。


【ライトのある日の夜】

 窓から入る風がひんやりとしてきた。どうやら、日は沈んでしまったみたい。一日中こうやって窓際に座っているのも、やっぱり退屈だった。
 あぁ……外に出たいな。
 それにしてもシンイチさんは一度も私を喚んでくれない。……もしかして、忘れられてるのでは。
 そうかもしれない。
 だ、だってシンイチさんと一緒にいた時間なんて、一日にも満たなかったのよ。
 そうよ……きっと忘れられてるんだ。……やっぱり、盲な女だからなのかな。


【ヨウのある日の夜】

 シンイチの奴め! 理由ぐらい言えばええのに、なぜこんな面倒なことを押し付けるんじゃ!
 運搬屋を探せ? 言うぐらいなら、自分で探せばええじゃろうに! 
 ……しかし、嫌に真面目な顔つきじゃったの。何を考えておったんかのぉ。そもそも、なぜ運搬屋なんじゃ?
 どこへ行くつもりじゃ。まぁ……行くとこは大体じゃが予想はつくがの。


【マスクとトグのある日の夜】

 愚かな。
 思わず自嘲する。港町シトモンに忘れ物をしてしまった。対した物ではない。が、そのまま放置するのも気に食わない。見知らぬ者に自分の犯した失敗をさらけ出しているようなものだ。
「……お前はおかしなところで細かいな」
 ふん。一日中隠れているお前に言われたくはない。何もしないトグに、大まかも細かいもないだろう。
「わかったわかった。港町シトモンに行けばいいんだろ? だったらさっさと行くぞ」
 俺に言わせれば、お前はせっかちすぎるんだよ。


【その日の深夜】

 ライトは呆然と開く窓を見上げていた。窓から覗く星は弱い光を放ち、微量な灯りを放っていた。
 一人考え事をして落ち込み、あれからいくら時間が過ぎてしまったのか。
 つくづく盲目である自分に嫌気が差す。何年も経つが、慣れることはない。
 星が広がっているだろう夜空を見上げながら、ふと町で耳に入った話を思い出した。
 流れる星があって、その星が消えるまでに願い事を言えたなら願いは叶う、という話だった。
 思わずため息を漏らす。
 自分にはその星を見ることさえできない。ましてや、願いが叶うこともない。視力を取り戻したいと思うことなど、当の昔に捨てているのだ。
 ライトは再びため息を漏らしたあと、椅子から立ち上がる。
 もう寝よう。こんな暗いことを考えてしまうのは、喚んでくれないあの人のせいだ。
 とその時、部屋に自分以外の気配を感じた。何か空気が震えている。その異常を感じる方を向き、身構えていると――。
「ライト様、夜分遅くに失礼します」
 突然の声に心臓が飛び出そうになった。
 嫌に落ち着きを払っている低い声。聞こえた瞬間、背筋にぞくりっと悪寒が走った。
「あ……貴方は」
 記憶に間違いなければ、この人は――。
「申し遅れました、マスクです。しかし丁度よかった。実は忘れ物をしてしまいましてね――」
 布がこすれるような音が聞こえた。
 一体何を出すつもりなのか。ライトは身体を強張らせ、その場に固まった。何せ、ここまで冷たいと感じた人間は他にいなかった。
 と、こすれる音は止まり足音がライトへと近づいてくる。その音とともにライトは後ずさりしたが、窓にそれを阻まれてしまった。
 足音はライトの目の前で止まる。
 ライトはすぐさま、頭を俯かせた。怖い。一体何をされるのか、想像もしたくない。
 ――しかし。
「これをどうぞ。取りに来たのはよかったんですが、やはり私には不要な物でした。謝意も込めています。どうぞ受け取ってください」
 ライトの返事を待たずに、マスクはライトの手を取るとそれを渡した。
 手のひらに乗せられたそれは、冷たく重い。理解できずに首を傾げていると、マスクは再び口を開いた。
「あぁ宝石を含んでいる石ですよ。原石ですね。売ろうかと思いましたが、ライト様に差し上げようかと思いましてね。女性の方はそのような物がお好きのようですから」
「げ、原石……。あ、あの、それよりも謝意とはどういう――」
 ライトにはマスクから謝られる覚えなどなかった。
 が、マスクはライトの言葉を最後まで聞くことはなく、言葉を遮った。
「気になさらなくて結構。私個人の問題なのです。――おやすみなさい、ライト様」
 その声が聞こえた途端、人の気配が消えた。
 訳が分からず、ライトはしばらくの間呆然と立ち尽くしていた。

 不可解なことに疑問を抱きつつもベッドへ移動した。貰った原石は枕元に置き、冷たいベッドの中へ身体を入れた。先ほどの緊張感が一気に解放され、すぐさま眠りに就いた。
 しかし、すぐに妨げられた。
 物音が聞こえる。夢うつつだった意識が現実に戻された。
 風が窓を叩いたのか。何か窓が揺れるような音がした。
 身体を起こしたライトは、ベッドから立ち上がった。何の音なのか確かなければ。
 部屋は真っ暗だろうが関係ない。元々暗い世界なのだ。それでも、やはり恐怖心は大きくなる。
 恐る恐る音のした方へと歩いていく。
 と、誰かの小声が聞こえた。その声に思わず足も止まる。小さな声でうまく聞き取れなかった。
 泥棒でも入ったのか? 
 震えそうになる身体を必死に抑え、静かに深呼吸をした。そして息を大きく吸い込み口を開いた。
「だ、誰ですか! こんな時間に!」
 すると途端布がこすれるような音が聞こえた。
 こっちに来る。
 ライトは咄嗟に身構えた。誰なのかわからず、足音が近づくともに恐怖心が膨れていく。
 逃げ出してしまいたい、こんなことばかりで最低だ。
 一歩後退した時、いきなり手を掴まれた。
 怖い。一体何が出てくるのか。
「ば、馬鹿。声がでかいっ」
 声を押し殺す聞き覚えのある声だった。力んでいた身体が急に脱力する。
 まさかと思いつつ、戸惑いを隠せなかった。
「え、あれ、な……なんで、シンイチさんがいらっしゃるんですか!」
「馬鹿! 声が大きいって言ってんだよ」
 真一の手がライトの口元を押さえ込んだ。
 ひんやりとした冷たい手が口元を覆う。ライトはその行為と冷たさに驚いてしまい、一瞬で黙り込んだ。
 真一もしばらく様子を伺っているのか、すぐには言葉を発しなかった。
 誰も来ない、と悟り大きく息を吐く。その風がライトの頬を撫でた。
 間近に真一がいる。
 そう思うと今度はライトの心臓が暴れ出した。顔まで高揚し始め、考えがまとまらなくなってきた。
 なぜ彼がここにいる。何の目的でやって来た。この状況は一体何なのだろう――。
 そんなことを考えつつ固まっていると、口元が手から解放された。
「起こしちまったか……。顔、熱いけど風邪でも引いたのか?」
 ライトはすぐさま自分の頬を両手で覆った。
 確かに熱い。真一は手が冷えているのだから余計にそう感じたのかもしれない。
 しかし胸の鼓動は止む気配はなく、本当の理由など言える状況ではなかった。
「ち、違います……。そ、それより、どうされたんですかいきなり……。私の方が驚きました」
 すると、再び布がこすれるような音が聞こえ始めた。
「そうそう、俺ようやく召喚魔術が扱えるようになってさ……」
 微妙に声のトーンが上がった。こすれる音が止んではないないので、どうやら何かを探しているようだった。
 一体何を出すのだろう。
「あれ、おかしいな」
 こすれる音が大きくなる。
 真一は黙ったまま何かを必死に探し続けた。
 訳が分からぬまま、首を傾げ耳だけを研ぎ澄ます。しかし、音がぴたっと止んだ。
「フェル草がない。あ、そうか……はぁ馬鹿だな、俺」
 明らかに落胆した口調と大きなため息が聞こえた。呟くような真一の物言いに、ライトは動揺した。
 何か言わなければ――ここは励ますべきなのか。しかし、なんと言えばいいのだろう。そもそもどうして今なのか。
「あの、ど、どうしてこんな急に? それにどうして……私のところに?」
 半分期待も込めていた。
 ライトのため、なんて言われたら卒倒するかもしれない。半分祈るような形で答えを待った。
 すると、真一は小さく「あぁ」と呟くと、少し間を開けて答えた。
「……俺が住んでた地球さ、クリスマスっていう行事があるんだ。それを思い出したら、急にケーキを食べたくなってさ。どうせだから、ライトにもやろうかなぁと」
 よく分からない単語があって、すぐに話を消化できなかった。
 クリスマス? ケーキ? 
 最後の、どうせ、という言葉が嫌に頭に残った。まるでおまけみたいだ。
「シンイチさん……失礼ですよ」
 ライトは顔を俯かせ、言葉を漏らした。来てくれた真一に失礼かもしれないと思ったが、言わずにはおれなかった。
 来てくれただけで嬉しい。そうは思っても、やっぱりそれだけでは物足りない。
 そんな図々しい自分に改めて気づかされ、再びため息を漏らした。
「あ……ごめん。俺、起こした上に結局何もないんだもんな……悪いな」
 頭を掻く音が聞こえた。予想に反して真一は反省しているようだった。
 ひょっとすると、今ならわがままを聞いてもらえるかもしれない。
 ライトの中でちょっとした出来心が生まれた。対した考えも持たず、勢いそのままに言葉が出た。
「だったら……今夜は付き合ってください」
「……は?」
 驚く声とともに、真一の唾を飲む音が耳に届く。
 とんでもないことを口走ったのか。ライトは慌てて言い訳をした。
「あ、あの、いや、あのですね! せ、せっかく真一さんがいらしてくれたんですから、もう少しお話をしましょう、ということです……」
 恥ずかしくてライトは顔を背けた。顔が熱い。今が夜で本当によかったと思う。
 真一はしばらく固まったように言葉を失っていたが、なんとか、出てきた汗を手で拭った。
「あ……あぁ、そういう意味ね。驚かすなよ……」
「す、すいません」
「じゃあ、立ち話もあれだしな……」
 そう言うと真一はそっとライトの手を握った。
 その手は温かい。さっきの言葉で驚かせてしまったのか、少し汗ばんでいた。
 それでもいい、とライトは思う。触れるだけで心が温かくなる。
 真一はそのままライトを窓際の椅子に誘導した。ライトを座らせると、今までの出来事を語り始めた。
 地球での暮らしのこと。クラブのこと。友達のこと。学校のこと――。ライトにとってそれは全て新鮮だった。わからない単語を尋ねると、真一は丁寧に説明をした。そのおかげか、話す真一の世界はライトの中で鮮明に映し出された。暗い世界ではない。明るい未知の世界。まるで、自分までもがそこへ住んでいるかのように思えた。
「……にしても星綺麗だなぁ。流れ星でもあればいいのにな」
「流れ星?」
 話の区切りになった時、真一は窓から見える星空を見上げた。
「星が流れている間に願い事を言うと、それが叶うんだってさ。見えたら教えてやるよ、俺の代わりにライトが言えばいいし」
 そう言うと、しばらく沈黙が流れた。真一は空を見上げ、流れ星がないか見張っている。
 ライトも窓の外に顔を向けた。広がっているであろう夜空を見上げる。
 願い――それはすでに叶った。
 目が見えることは無理でも、真一が世界を作ってくれた。暗い世界の中で、真一の存在は違っていた。感じればそこに明かりが灯る。それは心まで届き、安心感をくれる。感じたことのない温かい心をくれる人だった。
 今でもそうだ。手から伝わる温もりは、暗い世界にそっと光を灯す。見えなくても感じる真一の存在。
 もし、願いが叶うなら――見てみたい。どんな顔、どんな容姿のか――会いたい。

「あっ! 流れ星だ、早く願い事を――」
 しかし、ライトは小さな寝息を立てていた。目は閉じられ、穏やかな表情で眠っている。真一はすぐに口を閉じ、呼吸も抑えた。
 これ以上起こさないよう、静かに窓から離れる。下手に動かせばまた目が覚めるかもしれない、そう思って真一はベッドの毛布を取りにいく。
 毛布を掴み離れようとする時、枕元で月明かりに照らされ何か光るものが見えた。
 青い光。黒い石の中から小さな光が放たれている。思わず手に取り確認した。
 それは宝石らしかった。石の間に美しい輝きを放つ原石が埋まっている。
 真一はため息を漏らしつつ、その原石を元の位置に戻す。
 情けない。ケーキと宝石など、比べようがない。ましてや、その材料となるフェル草がないとは――とことん格好が悪い。
 真一はライトの上に毛布をそっとかけてやると、足早に入り口の窓へと行く。音を立てずにそっと開けると、そこにはヨウがいた。
「……帰るぞ」
 寝ていたヨウははっと目を開けると、大きな欠伸をした。
「ふぁぁ、何じゃ、用事は終わったんか」
 ヨウは眠そうに目をこすると、小さく「インディションサモン」と呟いた。すると、手にはフックつきのロープが出てきた。それを真一へと手渡し、窓枠に付ける。
「あぁ」
 真一はローブを掴むと、そのままゆっくりと下に下りていく。
 ヨウは何をしたのかと気になったが、真一の顔を見るとなんとなく予想がついた。
 本人は意識していないのかもしれないが、小さなため息ばかりが出ている。視線は下ばかり見て、何か自信がなくなったようだった。そんな様子を見ながら、真一が地面へ降り立つと同時にヨウは口を開いた。
「ふられたんかの」
 真一は肩をびくっと動かし一瞬動揺する仕草を見せた。しかし、振り返った顔は平然としていた。
「そんなんじゃねぇよ。ったく俺は何しに来たんだ……。プレゼントもないし、ライトは起こすし……あぁくそ。宝石に勝てるかよ……」
 ぶつぶつと呟きながら一人歩いていく。ヨウはすぐには追いかけず、がっくりと肩を落とす寂しい背中を見た。
 あげられるものは形があるものだけとは限らん、とヨウは思う。
 慰めにこのことを教えてやろうかと思ったが、やめた。しばらくあの状態を見るのも面白い。
 ヨウはふっと笑みをこぼして、その小さな背中を追った。




※後書き

お読みいただきましてありがとうございました。
えぇ、クリスマスにちなんだ話にしようと思ったのですが、アラウにはクリスマスが存在しないので苦労しました(;´∀`A
プレゼントという題にして、当初はみんながわいわいと集まる話にしようかと思いました。プロットも考えず書き進めていくと、なぜか真一とライトがメインに(;´Д`A  ま、まぁクリスマスということでお許しください。
冒頭にも書きましたが、本編とは全く関係ありません。本編では真一はライトに会いには行っていないので、この話と本編を混同させないようお気をつけください<(_ _)>
感想などを頂けましたら嬉しいです。
皆様、メリークリスマス♪
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無題
ケーキも宝石もあげる相手がいません (´・ω・`)
ベリークルシミマス。
……小説でも書くかな。
るうね 2008/12/24(Wed)19:03:50 Edit Top
無題
私も宝石なんてもらったことないですorz
家族がケーキを買ってくることが唯一の楽しみですねぇ(*´∀`) ……それも寂しいのか、なorz

ベリーサビシマス。

執筆頑張ってください( ̄∀ ̄*)
ぱくどら 2008/12/24(Wed)20:07:14 Edit Top
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