作品一覧
文章構成も文章表現も下手だと思います。。なんとか皆様の心に残るような作品を書くことを目標に頑張っています。
隠れ家のpassは syousetukaninarou
その存在を思い出し、保存していたものをこちらに載せてみようかなぁと思います。
タイトル
【バレンタイン】
あらすじ
【真一はその日を心待ちにしていた】
登場するのは、真一・ヨウです(*´∀`) 短い作品ですので、携帯でもすんなり読めるのではないかと思います。
なお、本編とは全く関係ありません。完璧に作者の遊びです。あしからず。
読んでいただけたら嬉しいです(*´∀`)
この作品は、小説家になろうで連載中の『サモチェリ』の番外編です。
読まれたことのない方にはお楽しみいただけないかもしれませんが、ご了承ください。
読んでくださっている読者の皆様へ。
ど素人の私の作品を読んでくださっていること、心より御礼申し上げます。
今、世間はクリスマスです。
何か差し上げることができれば良いのですが、残念ながらそれはできません。
その代わりにサモチェリの短編をご用意いたしました。お楽しみいただければ幸いです。
なお、本編には一切関係ありません。
【タイトル】プレゼント
【あらすじ】ライトは喚ばれることを待っていた。そんなある日の夜。思いもよらぬ客人がやって来る。
では続きからどうぞ。
人間たちは笑いながら群れている。だけど、僕はその会話まで聞こうとは思わない。
町と言われる場所にはたくさんの人間がいて、煌びやかで、賑やかだった。だけど、僕は町に入ろうとは思わない。
僕らは人間たちには見えないのだから。
僕らは使魔と名乗っていた。全員がその名を名乗っている。個々に名前なんてない。名前がなくても、生活には困ることはない。
ほしいものは魔術で手に入るし、行きたいところがあれば自由に飛べる。
今の生活に不自由なことなんてなかった。
だけど、なぜか心が満たされたことはない。だから時々、こうやって人間たちの様子を見に行く。
夜に浮かぶ町の灯り。その灯りからは賑やかな音がする。
笑う声。歩く音。小さな寝息。語らう人の声。
人は僕らから見れば不自由に見えた。飛ぶこともできない。僕らのように、自由に魔術を使うこともできない。ほしいものを手に入れるために、時間をかけて仕事をする。
だけど、聞こえる音に不満の声は聞こえない。不幸をよりも、幸福や温かさを感じた。
なぜ人間は群れるのだろう。
群れないと生きていけないから? 僕らは一人でも生きていける。人間が群れようとする理由なんてわからなかった。
ある日、僕は再び旅に出た。一定のところにいると飽きてしまう。見たことのない風景を見るのが唯一の楽しみだった。
その途中、一人倒れている人間を見つけた。うつ伏せになって身動きをしていない。
様子を見ていたけど、少し興味があった。これからこの人間はどうなるのだろう。
「うっ……うう」
腕が少し動いた。着ているローブは破れ、血が出ているのかひどく汚れている。見える腕や足も擦り傷がいっぱいある。
そんな腕や足を少しずつ動かして立とうとしていた。僕はただじっとその様子を見ている。
だけど、人間は再び地に身を伏せた。
そしてまた、弱々しく手を動かし始める。何度も何度も立とうと試みているようだった。
それを見ていると、急に罪悪感が襲った。傍観者としての僕は正しいのか、と。
今まで人間には干渉しないようにしてきた。干渉する意味がないと思えたから。人間は人間でのルールがあるし、僕らにも僕らのルールがある。世界がある。
だけど、この人間は今にも死にそうだった。ルールやら世界やら、そんなの関係ないように思えた。
目の前で命の火が消えようとしている。それだけが漠然とわかった。それを傍観することは罪なのか。
傍観して得るもの、助けて得るもの。どっちが多いのか。咄嗟に判断はできなかった。だけど、本能的に僕はその人間に話しかけていた。
「……大丈夫?」
声なんて届くはずはない。僕ら使魔は姿も見えなければ声も届かない。同じ土地にいながら、人間と使魔は別々の世界に生きてきた。
だけど、その人間はぴくっと手の動きを止めた後、ゆっくりと僕に向かって顔を向けた。
「た、助けて……」
虚ろな目で見えないはずの僕を見つめる。顔を傷だらけで血に染まり、どこから血が出ているのかわからない。
とにかく僕はその人間を助けることにした。
これからこの人間がどうなるのか。僕の興味はそこしかない。
回復魔術を施してあげた。顔の傷を治してあげると、色白の顔が見えた。女みたいだった。
人間は薄っすらと目を開けた。虚ろな表情のまま僕を見上げる。
「ありがとう……」
僕に微笑んだ。身体の傷はまだ治していない。だけど人間は楽になったのか、静かな寝息が聞こえてきた。僕も釣られて眠気に誘われ、その横で寝ることにした。
翌朝目覚めると、人間はまだ倒れていた。傷が痛むのか顔を歪めている。
「どうしてそんなに傷だらけなの」
ずっと思っていたことを口にしてみた。人間の眉がぴくっとして、ゆっくりと口を開いた。
「……盗みがばれてしまって……。町から追い出されたの」
「どうして盗みをしたの。どうして町から追い出されなきゃいけなかったの」
「生きていくため……。秩序を守らなかった者は……罰が下されるのよ」
よく意味がわからず、それ以上の質問は思い浮かべられなかった。
人間は群れれば生きていける、そう思っていた。助け合って生きている――そう思った。だから、人間を魅力的に感じていた。
だけど、目の前にいる人間は同じ人間から罰を受けた。生きていくために、秩序を守らなかったから。
よく理解できない。
「人間は君を助けようとはしなかったの。君はこれからどうするの」
人間は黙っていた。僕は答えを待った。
「……あなたが助けてくれた。だから、私はあなたにお礼をするだけ」
また人間は弱く笑みを見せた。僕が見えているのか、見えていないのか虚ろな表情のまま。
僕は助けようとは思っていない。ただ、興味があったから。
僕が見えない人間に、お礼なんてできるはずもない。お礼を受けたところで、きっと何ら生活に変化は生じない。
僕らの方が自由だし、魔術もたくさん扱える。――人間が羨ましく思えたのは、群れているから。
群れていない目の前の人間に、急に関心が薄れてしまった。
僕は黙ったまま、その場を去った。
人間は何日間も苦痛に耐えた。誰かはわからないが、顔の治療をしてくれたおかげで生き延びた。
が逆に、治療さえ受けなければきっと楽になっていた。
一体誰だったのか。そのことを考えながら必死に痛みに耐え、ひたすら治ることを祈っていた。
痛みになれたのか、ようやく起き上がることができた。
周りに何もない。砂漠の真ん中なのか。元いた町でさえ、どの方向なのかわからない。
きっと死ぬ。
周りに広がる果てしない砂漠と、体力を奪っていく太陽の陽を受けながら漠然と思った。が、死ぬ前にやらねばいけないことがある。
こんな自分に、手を差し伸べた誰か。
その人に礼をしなければ。
しかし、すでに姿はなかった。どこへ行ったのか、足跡さえ残していない。
人間はゆっくりと立ち上がる。ふらつく足は砂に捕らわれ、再び転びそうになる。それでも必死に踏ん張り、なんとか進む。
ふらつく足取りで前へ前へと歩く。
どこへ行った。
食べる物をろくに食べていない。思考も途切れそうになる。それでも、その人を求め歩いていく。
僕は再びあの地に訪れた。人間と初めて会話した場所。
あの人間がどうなったか、見るだけ見ようと思った。群れに再び戻ったのか、一人で生きているのか。
だけど、その場所に人間はいなかった。が足跡が残っている。傍らには血の後転々と続き、足跡は砂に遠く刻まれていた。
その足跡を追っていくと、急に途切れた。そしてそこには人間が倒れている。
見覚えのある顔。色白の女。
目を閉じ、口を半開きにしていた。風に乗った砂で、身体には少し砂が積もっている。
「……帰らないの」
が、人間はは目を開こうとはしない。指一つ動かそうとしない。
「死んだの」
口はそれ以上開くこともなく、声もない。静かに風の音だけが聞こえる。
そっと、人間に触れてみた。
冷たい。
見てきた人間の世界は、どことなく温かいものだと思っていた。きっと、この人間は群れから離れてしまって熱を奪われた。
だから死んだ。
僕がもしあの場にいて、人間の代わりに熱を送っていたらどうなっていただろう。この人間はどうしていただろう。
僕がもしあの場にいて、お礼を受けていたらどうなっていただろう。この人間は再び笑っていたのだろうか。
初めて会話した人間。
偶然出会って、偶然しゃべることができて会話をして、僕は何を得た。
人間が群れる理由なんて今だにわからない。
わからないけど、死んだ人間を見るとなぜか虚無感が襲った。あの時倒れている人間を初めて見たときと同じ感覚だった。
初めての人間。
僕が感じる初めての感情。
悲しみ。――誰かを思う感情。人間と過ごした短い時間。一人で生きる僕に、何かをくれた人間。
僕はその場を去った。
何もない。あれ以上僕にできることなんてない。ただ思う。あの人間が静かに暮らせるように。
再び群れに戻れるように。
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